膝の痛みについては打撲や捻挫の様な明らかに原因が分かるケースは意外と少ないのが現状で、多くの場合、膝の痛みの原因を聞くと返ってくる答えは「分からない」「急に痛み出した」という様に原因不明の痛みで悩まれている方が大半を占めます。しかし原因不明という事はなく、必ず痛くなる理由があります。我々体の専門家としては「間違った体の使い方を身につけている」と考えます。膝の痛みに限らず、痛みがある場合はその箇所に無理な負担がかかっている事が予想されます。
今回は膝の痛みの原因と対処法をお伝えしていきます。
膝の痛みの原因
中高年になってくると膝の痛みを感じる方が増えてきます。そのほとんどが変形性膝関節症と言われる病気です。変形性膝関節症とは、関節のクッションである軟骨がすり減る事で痛みが生じる病気です。軟骨がすり減った分、膝関節の骨と骨の隙間が狭くなって、内側の骨が露わになり、骨の縁にトゲのような突起物が出来たり、骨が変形したりします。
変形性膝関節症は、原因がはっきりとしない一次性のものと、原因が特定出来る二次性のものに分けられます。そのうち大きくを占めるのは、原因がはっきりとせず様々な症状が複雑に絡み合って発症する一次性の変形性膝関節症です。一方、二次性変形性膝関節症は、怪我や病気、関節リウマチ、関節構造の損傷などによって引き起こされます。
変形性膝関節症の各段階の症状
変形性膝関節症は時間をかけて進行し、徐々に症状が重くなっていきます。一度すり減った軟骨は再生する事がありませんので、出来るだけ早めに対処する必要があります。
初期症状
起床後、体を動かし始めた時に膝に強張りを感じます。日常生活動作でなんとなく膝が強張る、重くて動かしにくい、はっきり分からないような鈍い痛みを感じます。しかし、しばらく体を動かすと自然と痛みが治り、あまり気にならなくなります。さらに症状が進行すると、正座や階段昇降、急な方向転換の際に痛みを感じます。
中期症状
中期になると、しばらく休んでいたら治っていた痛みが、なかなか消えなくなります。正座や階段昇降、深くしゃがむなどが膝の痛みで困難になります。関節内部の炎症が進む為、膝が腫れや熱感が生じます。関節液の分泌量が増えるに従い、膝の変形が目立つようになります。また関節がすり減って摩擦が大きくなるので膝の曲げ伸ばしを行うとギリギリと音がします。
末期症状
関節軟骨がほとんどなくなり、骨同士が直接ぶつかり合うようになります。この段階になると初期、中期で見られた症状の全てが悪化し、日常生活動作が困難になります。その為に行動範囲が狭まる為、精神的な負担も大きくなりがちです。
変形性膝関節症の対処法
変形性膝関節症の原因として幾つか一般的に言われているものがあります。加齢、筋肉の衰え、肥満です。しかしいずれも直接的な原因にはなりません。高齢になっても膝を痛めていないという方もいますし、果たしてどれだけの筋肉量があれば痛みが出ないのかという具体的な数値もありません。力士のように一般レベルを超えるような体重があっても膝を痛めていません。では、なぜ膝が痛めてしまうのかというと「膝を痛めるような体の使い方を身につけてしまっているから」です。ですので対処法としては、「膝に負担のかからない体の使い方を身につける」になります。少し言い方を変えると「股関節中心の体の使い方を身につける」必要があります。
股関節中心の体の使い方とは?
スクワットの動作で言うと、しゃがむ動作で直立した時の膝の位置より、前に出るような動作になると膝関節に体重が乗ります。膝関節は見て分かる通り、筋肉に覆われておらず関節が剥き出しの状態ですので、筋肉でその負荷を支える事が出来ません。その為、動作を繰り返し行う事で膝関節を傷める原因となります。ではどうすれば良いのかと言うと、その膝にかかっている負荷を股関節に変えればよいのです。
股関節を使う際に働く筋肉はお尻の筋肉になります。お尻の筋肉は見たり触ったりしても分かる通り、とても大きな筋肉です。股関節はお尻の大きな筋肉に覆われているので、関節にはあまり負担がかからず筋肉で負荷を支える事が出来ます。その為正しく股関節を使えていると股関節を傷めるリスクは低くなります。スクワットで動きをご説明すると、立ちしゃがみの動作で膝関節が前後に動いている方は膝を傷めるリスクが高まります。一方股関節が前後に動いている方は膝を傷めるリスクが低くなります。
※参考動画にてご確認下さい。
まとめ
膝に限らず体に痛みが出る時というのは、その箇所を余計に酷使させている可能性が非常に高いです。ただ日常生活動作というものは、負荷がそこまで高くはない為、すぐに痛んだりする事が無く、負担が少しずつ蓄積され、ある時突然痛み出すのです。その為間違った動作をしているという事にも気付かずに生活されている方は大半かと思います。癖というものは自分ではなかなか気付く事が出来ません。その癖が「良い癖」ならば良いですが、「悪い癖」の場合、体に余計な負担をかけ続ける事になりますので、一度自分の体の使い方が正しいのか確認してみる事をお勧めします。
参考動画
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